【フリーランスのメディカル翻訳者】相場・単価、年収は？（2023年12月時点）

この記事は、以下のような疑問がある方にお勧めです。

・フリーランスのメディカル翻訳者はいくら稼げる？
・メディカル翻訳の単価、月収、年収は？
・求人への応募資格（必須スキル）は？
・未経験でも応募できる？

日本翻訳連盟が目安となる各分野での翻訳料金（下記表参照）を開示しています。これは発注者が翻訳会社に支払う金額で、フリーランスの翻訳者に支払われる金額ではない点、注意しましょう。

※分野によって料金は多少異なります。

【表】翻訳料金（発注価格）

この価格から、翻訳会社のマージンを引いた翻訳者に支払われます。

今回は、比較的需要の多いメディカル翻訳について、フリーランスメディカル翻訳者の求人をもとに調査し、翻訳単価を表にまとめました。

結論、求人の平均単価は、英訳で9円/ワード、和訳で7円/ワードでした。

単価でいうと25円前後は翻訳会社のマージンですね。

翻訳者以外の職種（チェッカー、機械翻訳のポストエディッター）の単価や、未経験者が応募可能な求人割合など詳細をご紹介します。

メディカル翻訳とは

という方のために、今回調査した求人で多かったものをまとめました。

医療機器取扱説明書、医薬品説明書、学術論文、製薬会社プレゼン資料、治験実施計画書、同意説明文書、治験薬概要書、治験契約書　など

これらの文書が翻訳対象になります。

専門知識も必要なため、「メディカル系のバックグラウンドがある方優遇」といった求人も多いです。

翻訳者に支払われる単価の調査方法

翻訳者ネットワーク「アメリア」で募集していた求人をもとに調査しました。

「アメリア」は、翻訳の専門校フェロー・アカデミーを母体として1985年誕生した翻訳者のネットワークで、翻訳求人数は年間1,500件以上あります。未経験でも応募可能な求人割合が多いのが強みとうたっている求人サイトです。

2023年12月に下記条件で検索し、24件の求人がヒットしました。

職種について補足ですが、チェッカーは、翻訳者が翻訳した文書をチェックする人です。翻訳者よりも単価が安く未経験可の求人もあるのが特徴です。

ポストエディターは、機械翻訳された文書を修正する人です。単価は、翻訳者とチェッカーの間ぐらいです。

メディカル翻訳者の単価

平均単価（ワードあたり）は、翻訳者は英訳9円、和訳7円、チェッカーは英訳・和訳ともに4円、ポストエディターは、英訳7円でした。

【表】翻訳単価（平均）

上記は平均値のため、求人によってばらつきがあります。単価にばらつきがあったものの上限～下限をまとめると下記のとおりです。

ワードあたり
翻訳者：英訳５～１4円、和訳5～10円
チェッカー：英訳3～5円、和訳3~4円
ポストエディター：英訳7円以下

チェッカーは単価ではなく時給で募集している求人もあり、時給の場合は、1,200円でした。

月収、年収は？

月収、年収を調査結果の単価をもとに計算しました。

翻訳を仕事にする場合、目安として１日2,000ワードの処理速度が必要になります。

月20日、処理スピード2,000ワード/日で稼働した場合（＋仕事を継続受注できている場合）は、

【月収】
翻訳者：36万円/月
(単価9円/ワード×処理速度2,000ワード/日×稼働20日/月）

となります。

年収に換算すると、約430万円ですね。

ただし、「１年を通して継続的に仕事を受注できれば」到達できる年収になりますね。

応募資格（未経験OK？必須スキルは？）

未経験可の求人割合は？

アメリアは、未経験でも応募可能な求人割合が他の求人サイトに比べて多く、約３割は未経験可の求人とうたっています。実際はどうなのでしょうか。

今回の調査方法では、求人が24件ヒットし、うち1件が未経験応募可の求人でした。

つまり未経験可の求人は割合は、0.4割ですね。

今回は「フリーランス翻訳者」に絞りましたが、翻訳会社での「翻訳＋翻訳管理業務」を正社員や契約社員の雇用形態で募集している求人等も含めれば未経験者かの求人割合はもっと高いです。

応募資格（必須スキル）は？

上記のとおり、ほとんどが翻訳経験者を対象とした求人でした。

応募資格は、だいたいの求人でどの職種（翻訳者、チェッカー、ポストエディター）も同じようなものが多く、中でも代表的なもの下記に記載しました。

【応募資格】必須スキルの記載例

・メディカル翻訳の実務経験がある人（経験年数は２～３年以上のものが多い）
・メディカルクラウン会員の人
・CATツールが使用できる人
・製薬会社での勤務経験がある人

やはり、実務経験２～３年以上の求人が多く、未経験者の方にはハードルが高く感じてしまいますね。

補足ですが、アメリアではこうした状況で未経験者でもスタートラインに立てるように、「クラウン会員」という資格を設けています。

「クラウン会員」とは、経験の有無に関わらず「実際の仕事で通用するレベル」とみなされるアメリア独自の会員資格です。「クラウン会員」資格を取得すると、翻訳の実務経験がなくても経験者対象の求人に応募できるチャンスが増えます（出典：アメリアHP）。

アメリアの求人では応募条件の必須スキルに「翻訳の実務経験」または「クラウン会員」と書かれている求人が多く、この場合は、翻訳の実務経験または「クラウン会員」資格のいずれかをお持ちであれば応募が可能です。

翻訳者ネットワーク「アメリア」

まとめ

今回は、

・フリーランスのメディカル翻訳者はいくら稼げる？
・メディカル翻訳の単価、月収、年収は？
・求人への応募資格（必須スキル）は？
・未経験でも応募できる？

といった疑問について、アメリアでの募集求人をもとにご紹介しました。

【平均単価（/ワード）】
翻訳者は英訳9円、和訳7円
チェッカーは英訳・和訳ともに4円
ポストエディターは、英訳7円

【月収、年収（試算）】
翻訳者：36万円/月
(単価9円/ワード×処理速度2,000ワード/日×稼働20日/月）
年収に換算すると、430万円（継続的に仕事を受注できれば）

【応募資格】
未経験可の求人割合：0.4割
大半は、翻訳経験2~３年以上のものが多い

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。